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ランドポート株式会社様 | TEDxNagoyaU2023協賛企業様にインタビュー!

1984年にアメリカで設立されたTED「価値あるアイデアを広める(Ideas worth spreading)」の精神に基づき、名古屋大学でTEDxイベントを開催しようと、2013年度に誕生したTEDxNagoyaU。

今回は、今年度から新しく協賛していただいている、ランドポート株式会社様(以下ランドポート様)の川添裕史様(以下、川添様)にインタビューさせて頂きました!

津田:この度はTEDxNagoyaUにご協賛していただき、誠にありがとうございます。ではまずランドポート株式会社様の事業内容についてお聞かせいただいてもいいですか?

川添様:私たちは【CARRY THE SUN】というソーラーランタンの製造販売をしております。折り畳み式でとても軽く、電気や電池が不要なので“いつでもどこでも誰にでも”使っていただけるランタンです。その販売形態で【Buy One Give One】という社会貢献プログラムを推進しています。これは、公式HPで一つ買っていただくと、我々から同じ数のソーラーランタンを世界の被災地や電気がないところに寄付させていただくという取り組みです。

津田:ありがとうございます。ではこのランタンを販売するようになった経緯について教えていただきたいです。

川添様:阪神淡路大震災を経験した弊社の代表が、明かりがないということがいかに大変かを実感し、いつでもどこでも使えるランタンを開発しました。現代を生きる皆さんは、明かりがない真っ暗な状況を想像できないと思います。そういう環境になると、シーンと音がない状況になるんですよ。その時に水や食料があっても、明かりがないということはメンタルに大きなダメージを与えるんです。それは被災地だけでなく、紛争地域で避難されている方も同じ環境です。それに、世界中には電気が十分に届いていない無電化地域と呼ばれるところがまだまだたくさんあります。そういったところに明かりを届けたいという思いで事業を行っております。

津田: ありがとうございます。 このランタンのこだわってらっしゃるところはどんなところですか? 

川添様:懐中電灯でもそうですが、明るければ明るいほどいいだろうと我々も思っていました。しかし、アルピニストの野口健さんが熊本大地震の支援をされているときにランタンを提供させていただいたのですが、明るすぎると落ち着かないというお声をいただいて、明るいの一辺倒ではダメなんだということが分かったんです。そこから、一番弱い明かりというものを改良して創りました。

津田:あえて弱くするんですね。

川添様:そうです。ミディアムサイズは明るさが3段階あって、その弱モードが一番弱い光を実現しております。ほんのりとした明るさです。お客様からはよく、優しい光だねとご意見を頂いております。

津田:確かに、優しい光って心が落ち着いて良いですね。

津田:それでは続きまして、ランドポートさんは「モノを売るを超え灯りのある生活を人々に届けたい」というとても素敵な企業理念を掲げておられます。そこに込められた想いについてお聞かせください。

川添様: 現代は、モノを売って終わりになりがちだと思います。でもこのランタンは、実際に日常生活の中で使って頂くだけではなく、防災用に使っていただいたり実際に避難されている方に使っていただいたりなど、一つの商品でいろんな使い方があります。また、我々は電気のない国内外の地域へランタンを送っていてそこの状況もお知らせするので、いま世界で何が起こっているのかを知るきっかけにもなります。今回、野口健さんと歌手のさだまさしさん、岡山県総社市と協力してトルコ・シリア大地震の支援をしたんです。トルコ・シリア大地震は、今はもう日本ではあまりニュースで取り上げられなくなってきていますが、実はまだまだ継続して避難されている方が多くて、支援を求める声がまだまだたくさんあるのが現状なんです。我々は時間が経つと忘れてしまって、自分たちとは関係ないと思ってしまいます。なのでこういう商品や販売方法によって、自分の買い物と同時にそういった世界の状況も知っていただくきっかけになってほしいです。 こういった商品の背景やストーリーを知っていただきたいという想いで、このようなメッセージにしています。

津田:ありがとうございます。 とても素敵な企業理念だと感じました。先ほども少しお話に上がっていましたが、トルコ・シリア大地震の被災地に明かりを届ける支援活動をされているので、そちらについて詳しくお聞きしていきたいと思います。まずトルコ・シリア大地震の支援の内容について、お聞かせください。

川添様:はい。我々がやっているのは、【Buy One Give One】という仕組みで、支援の形態が2種類あります。まずは、1つご購入されたら我々が被災地に同じ商品を1つ送るパターンで、もう1つのパターンは、お客様が買っていただいた分も被災地に送る、つまり一つ買っていただくと、買っていただいた商品も寄付されるので2個被災地に寄付される、というプロジェクトです。もともと野口健さんがトルコの支援として寝袋を送っていらっしゃって、そして寝袋の次に必要となったのが“明かり”だったんです。野口さんは普段から登山やキャンプをされるのですが、その時に我々の商品を使っていただいていました。 このランタンだと役に立つでしょうということでこの取り組みが始まりました。

津田:ありがとうございます。ホームページでも拝見したんですけど、トルコに第五便まで送られているんですね!

川添様:そうです。まだ被災された方は1300万人以上いらっしゃるし、まだ電力が不安定なのでまだまだソーラーランタンが必要だというお声があるので、これからも支援を継続していきたいと思っています。

津田:なるほど。まだまだ明かりが足りていない状況ということなのでしょうか?

川添様:明かりはただ明るいだけじゃなくて、防犯や安全という側面での需要もあります。特にお子さんや女性が夜に移動する時に、明かりがないがゆえにトラブルに巻き込まれることがよくあるので、まだまだ明かりは必要です。

津田:ありがとうございます。 ランドポート様は被災地支援のほかにも、SDGsに貢献されていらっしゃいます。こちらについても詳しくお聞かせいただいてもいいですか?

川添様:そうですね、まずクリーンエネルギーを実際に手元で使っていただくという点で、この商品自体がSDGsに貢献しています。逆に質問なんですけど、そういったものって身近にありますか?

津田:クリーンエネルギーのものですか?今パッと思い浮かばないですね。

川添様:意外とないですよね。設備やメガソーラー、風力発電などはよく聞くと思うんですけど、実際にそういったものが道具としてみなさんの手元にあるかと言うと、なかなかないと思うんです。このランタンはクリーンエネルギーを身近に感じられる商品として、クリーンエネルギーが使えるということを実感していただくきっかけを作っています。

津田:クリーンエネルギーはもっと日常に取り入れられるよ、というメッセージが込められているということですか。

川添様:そうです。もしくはクリーンエネルギーが日常で役に立つことを知っていただきたいです。もちろん、サステナブルなものとかエコなものって、こういったものに限らず、食品や衣料品など、様々なものがあると思うんですけど、じゃあ明かりとなると、 乾電池を使ったりUSBで充電したりなど、便利さを求める方向に進みがちですよね。やっぱり私はその便利さの追求からの脱却というか、もう少し配慮していくべきだと思うんです。でも配慮するとやっぱり少し手間がかかったりするので、そういう点でクリーンエネルギーは敬遠されがちなんですね。なので、このランタンを使用していただくことで、そういった意識を変えたいです。我々のお客様からの声で、天気が良いともったいないと思うようになったらしいんです。 太陽のエネルギーを充電できるのにって。

津田:もっと充電できるのに、ということですか?

川添様:そういう意味です。だから充電しなきゃもったいないって思うらしいんです。普通に便利に生活していたら、そういう感覚もないですよね。

津田:そうですね。

川添様:なので、お子さんにこれを一つ渡して、自分の明かりとして自分で充電しなさい、といった教育をされている方も多いです。 これでSDGsを達成するというよりは、この商品を通して環境問題を自分事として考えるきっかけにしてもらいたいと思っています。

津田:そうですよね、SGDsってよく耳にするようになりましたけど、正直日常の中でSDGsを意識する事はあまりないので、日常に落とし込む初めの第一歩として、とても重要な役割を担っているなと感じました。ありがとうございます。すごい、一つの商品に、色々なメッセージが込められていて、とても素敵だなって思いました。

川添様:全部、お客さんから教えてもらうことばかりなんです。

津田:そうなんですか!すごい、それだけ一つの商品から伝わるものが あるということですね。それではランドポートさんの今後のビジョンをお聞かせいただいてもいいですか?

川添様:はい、じゃあまず質問なんですけど、世界寄付指数って知っていますか?

津田:えっと、、わからないです。(笑)

川添様:World Giving Indexというんですけど、これには三つの指標があって、一つ目は知らない人の手助けをしたか、二つ目は寄付をしたか、三つ目はボランティアに参加したか、です。で、2022年の日本の順位が119カ国中118位という。

津田:低っ!

川添様:すばらしくひどい。これって多分皆さんが想像しないような結果だと思うんです。

津田:衝撃ですね。

川添様:しかも年々日本の順位が下がっている状態なんです。日本では「おもてなし」とか言われていますけど、ちょっとした日常の中にこういう奉仕の行動を取り入れるっていうことが、まだまだ足りてないですね。それがこういう結果にも紐づいてくるのかなと思うんですけど、これが現実なんですね。先ほどの【Buy One Give One】を通してそういう現状がわかったり、自分の買い物が世界の遠いところの人に役に立つということを実感してもらったりすれば、自分自身の人生も豊かになるし、結果的に世界寄付指数の順位も少しずつ上がっていくんじゃないかと思っています。

津田:確かに、日常の中でそういった寄付とか、世界の誰かを助けるみたいな感覚ってあまり持つことがないですね。こういった商品や取り組みを通して、まずは現状を知ることが、課題感としてもつための第一歩ですね。ありがとうございます。この記事を通して、いろんな若者の人にも知っていただけたらなと思いました!

津田:では、ここからは弊団体に関連する質問に入らせていただきます。まずランドポート様がTEDxNagoyaUに共感していただいたポイントをお聞かせください。

川添様:はい、テーマのSUPERNOVAの柱の、何かしなきゃという感覚を持ってもらいたいという部分が、当社と似ていると感じました。そして、無限の可能性に気づくっていうのがすごく大事な視点だなと思いました。

津田:ありがとうございます。 テーマについて強く共感していただいているのが凄く嬉しいですね。ありがとうございます。 では続きまして、私たちTEDxNagoyaUに今後期待していることがあれば、お聞かせいただきたいです。

川添様:発信力をもっと強めていってほしいと思います。皆さんもこのイベントを通して色々学ぶこともたくさんあると思います。自分たちがその瞬間ひらめいたことや思ったことは、そのままにしておくと終わって通りすぎてしまうと思うんですけど、やっぱり人に伝えたり、引き継いだりすることによって、それがまた進化していくのかなと思っています。なので、様々な気づきをより熱意をもって伝えていってほしいです。

津田:ありがとうございます。その時々の感じたことを、無視せずちゃんと伝えるということを大切にしていきたいです。では続きまして、今年のメインイベントのテーマは「SUPERNOVA」(超新星爆発の意)なので、ランドポート様の「今年のSUPERNOVA」ということで、今年力を入れていることがあればお聞かせいただきたいです。

川添様:2023年は【Buy One Give One】で、新たなサービスを展開していきたいと思っています。

津田:具体的に、お聞かせいただいてもいいですか?

川添様:今コンテンツ作りをしているんですけど、【Buy One Give One】には、社会貢献を実感してもらうっていうのが裏テーマであるんです。でも社会貢献ってなんとなくそんなに意識してしないじゃないですか?コンビニの横の募金箱に入れたって5分後には忘れちゃうくらいの金額だし。なので我々は、寄付先の現状や、寄付したお金が何に役立ったかを具体的にお伝えすることで、この裏テーマの達成を後押ししたいと考えています。実際にお客様からも、知ることによって自分の貢献を実感できるっていう声が、非常に大きいですね。また、特に【Buy One Give One】では自分が購入することで、同じものが現地に寄付されるわけですよね。なので、ご自身が日常に使っているものと同じものが、世界のどこかの夜で使われていて、安全に暮らせる灯りになっているとか、子供さんが夜勉強できるような灯りになっているかもしれない。っていうことを知ると、より実感がわきますし、嬉しくなりませんか。

津田:嬉しくなります!やはり同じものが手元にあるのとないのとで、きっと実感は全然違ってくると思いますね。ありがとうございます。

川添様:どんなものでも、その先のストーリーがわかれば、愛着を持ったり、続けて使用しようって思ったりするようになりますよ。それを「モノを超える」って我々は表現しています。そうすることで安心や自信を持って使っていただけるし、社会貢献ができたという喜びも提供できます。

津田:すごく温かい取り組みですね。 ありがとうございます。 それでは最後に若者や学生にメッセージ をおねがいします!

川添様:視野を広く持ってほしいと思います。日本も地球の中の一つの国ですし、日本だけでは多分生きてはいけないので。

津田:世界全体を、もっと感じることが大事ということですかね。

川添様:そうですね。世界で起こっていることも影響を受けるし、逆に日本から発信することも世界に影響を与えるかもしれない。その意識が大事なのかなと思います。

津田:ありがとうございます。 確かに、普通に生活している中で、世界は今こうなっていて、自分がその中にいるみたいな感覚はあまりないと思ったので、そういった自覚を学生の人にこそ持っていただけたら、もっと世の中がよくなるのかなと思いました。

川添様:そうですね、だから少しそういう視野を広げていくと、いろんな可能性がさらに広がっていくんじゃないかなって思います。今ちょうど世界中が変わっているターニングポイントなので、今の若い方こそ広い視点を持つことが大きく期待されていますよ。

津田:頑張ります(笑)。とても熱いメッセージをありがとうございます。心に響きました。 それではインタビューは以上となります。

  • インタビュアー、記事作成:名古屋大学農学部資源生物科学科 津田真理
  • 記事作成:名古屋大学理学部数理学科 横山大輝
  • 記事作成:名古屋大学経済学部 石黒礼菜

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