株式会社デンソー様 | TEDxNagoyaU2023協賛企業にインタビュー!

1984年にアメリカで設立されたTEDの「価値あるアイデアを広める(Ideas worth spreading)」精神に基づき、名古屋大学でTEDxイベントを開催しようと、2013年度に誕生したTEDxNagoyaU。

今回は、今年度から新しく協賛いただいている株式会社デンソー様(以下、デンソー様)の山田隆太さん、加納健良さんにインタビューしました!

デンソー様は、刈谷市に本社を置く会社で、1949年に設立された歴史ある企業です。

今回は、名古屋駅前の名古屋オフィスを、TEDxNagoyaUから横山と今井が訪問し、お話を伺いました。

デンソー様の名古屋オフィスが入るビル
デンソー本社(刈谷市)(デンソーHPより引用)

横山:お忙しい中、お時間をいただきまして、ありがとうございます。まずデンソー様の事業内容についてお聞かせください。

山田さん:はい、 デンソーの事業ですが、おそらく皆さんがイメージしているものと、実際の事業内容は変わってきています。もともとは自動車の部品メーカーから始まっていますが、今は「モビリティ社会におけるTier1(メーカーに直接納入する一次サプライヤーのこと)」という、単に自動車の部品に関わるだけではなくて、移動する手段としてのクルマを使って社会をより良くする、というような、広いスコープで考えています。だから、「自動車の部品メーカー」ではなくて「モビリティ社会を支えるためのサプライヤー」という捉え方をしていただければと思います。

横山:デンソーさんは、歴史ある企業さんだと思いますが、他社に負けないところや、一番の強みを教えていただきたいです。

山田さん:クルマ業界を知り尽くしているというところが一番強みです!!

加納さん:デンソーには歴史があって、最初はモーターとかから始まるのですが、カーエアコンが無かった時代にそれを開発して世に出したり、今後のクルマは電子制御化だということで、ICの研究室を立てたり、自分たち自身もクルマの安全性や品質をしっかり保たないといけないと思い、走行テストのコースを作ったりと、一つの部品メーカーと言うよりは、トータルでやっているというところが、強みです。昔から脈々と受け継いでいる技術に、新しいことを取り入れて、皆で議論してより良いものを作る、という精神は誰にも負けないと思っています。今は、自動運転や電動化などに向けて、技術者のキャリア支援のプログラムにも力を入れていて、メカとエレクトロニクス、ソフトウェアが三位一体となって新しいことに挑戦しています。

横山:今まで積み上げてきたものだけでなく、新たなことにも挑戦されて、どんどん会社を発展されているのですね。話は変わりますが、山田さんから見て、今の若者や大学生はどのように見えていますか?

山田さん:やはり「多様性」があると思います。自分たちが若い時とは比べ物にならないくらいの多様性を、今の若者は持っていると思います。昔は社会人として「こうあるべき」みたいな、固定観念があったり、技術者としてのイメージも非常に画一的なものでした。でも今は、社会自体や、それを支えるソフトウェアの世界はいろんな分野に及んでいるので、本当にいろいろな能力が必要です。でもそれを一人で賄うことなんて不可能なので、そもそもいろんな能力を持った人が一緒に仕事をしなければいけないという、そういう世界なんですよね。今の若い方々には多様性ある社会で生きていくために必要な能力がありますし、そういう意味では、我々からすれば、実はすごく羨ましいですよ。一つの道で極めていく、匠になるというイメージが自分たちにはあったけど、みんなで集まって「もっといいことができるんじゃない?」っていう文化や考えが、世代の中に存在するっていうのはすごい可能性のある世代だなって思います。

横山:なるほど。若者世代には多様性を持った、いろいろな学生がいると思うのですが、その中で、デンソーさんはどういう人を求めているとか、どんな人と一緒に働きたいのかな、ということがとても気になっているので、教えてほしいです。

山田さん:「ずばりこういう人」というのは決まっていないです。会社を運営しようとするときに必要な人材は、いろいろなタイプの人がいると思っています。 一つのことを深く追求していくような分析タイプが必要な場面もあれば、世の中の変化を捉えて、自分たちの武器をどのように組み合わせていくかを考えるような、周囲を動かす人が必要な場面もあります。そして、重視しているのは、自分の意志や志を持っているかどうかですね。その意志は、人によって違うかもしれないけれど、「自分はこれをやりたい」という、強い思いが必要ですね。それがやはり一番重要だと思います。

山田隆太さん
加納健良さん(デンソーSNSより引用)

横山:TEDxNagoyaUにご協賛いただき、ありがとうございます!ずばり、弊団体をサポートしていただいた理由をお伺いしてもよろしいでしょうか。

山田さん:TEDx自体が本当に多様性を求めているところですかね。今の時代は理系文系も関係なく多様な能力や発想力が必要だから、TEDxだけではなくて、実はいろんなところに協賛しています。TEDxで、イベントをみんなで考えて運営している、その志や学生の力も本当に素晴らしいなあと思うし、そういう人材が欲しいなあって思う。イベントでプレゼンテーションする人もそうだし、それを見に来る人もそうで、そういう場所って自分の意志がないとそこに集まらない。だから、自分の意志があるかどうかにデンソーはやっぱり注目をしているし、重視している。そういう人たちにデンソーを知ってもらいたいという思いで協賛しています。

横山:ありがとうございます。なんかそうやって言われるととてもイベントを作っている甲斐がありますね。正直、僕も今井もまだメインイベントは経験していなくて。未経験だからこそ、より意識的に自分の意志を大切にしたいなって思いました。

山田さん:メインイベント前のこの時期が、一番面白い時期だと思いますよ。イベントをやる前に、イベント本番がどうなるか分からないからこそ、面白いですよね。逆に、もしそれが全部分かってしまうとつまらないし、分かりきっていることをわざわざ自分でやる価値がないよね。分からないことだらけだから、自分が今、それをやる価値があると思います。

加納さん:できないことや分からないことがあるから、それを実現して行くんだ、っていうワクワク感が大事。できることばかりやって一番になったとしても、いつかは負けてしまうし、いつかは衰退していくと思います。それに対して、できないことに挑戦している状態の方が、やっぱいいし、それも、それぞれの個性が活かされた挑戦の仕方だとなお良いですよね。TEDxNagoyaUは、一歩を踏み出して何かに挑戦するという姿勢で活動している。そういったところに共感しますね。

横山:ありがとうございます。僕たちもイベントを通して参加者の次なる一歩を後押ししたいという想いで、テーマやコンテンツ等を決めていているので、そこに共感していただけて、とても嬉しいです!

では、TEDxNagoyaUに対しての今後の期待を教えてください。

山田さん:規模はやっぱり、大きくしていった方がいいと思います。でも、何事もスタートは小さいところからだと思います。なぜ小さい規模で始めるかというと、その方が、考え方が非常に近い人が集まって、計画して実行するから進みやすいんですよね。似たもの同士だから。だけれども、大きくすると自分たちと違う考えを持ってきた人が入ってきて、今までの常識が通用しなくなります。そこで様々な意見や、自分だけでは気づかなかった気づきを得られることで、変化していける。それが重要だと思います。だから、TEDxNagoyaUの皆さんにはそういう成長の仕方をしてほしいです。

横山:ありがとうございます。では、デンソーさんの今後のビジョンというか、今後目指して行くデンソーさんの姿を教えていただければと思います。

山田さん:はい、常に世の中の動向に合わせて自分たちのキャリアを考え、技術力を高めていける環境にしていきます。今もし、目標が無いなら、まず何か目標を置いてそこに向かっていく。後で変化してもいいので、どのような将来を目指していくのかを自分でしっかりイメージする。そして、一人一人が変化に合わせて、目標を修正していけるようにする。そのための環境作りも行っていきます。そして、実は、デンソーだけが良くなればいいとは思っていなくて、周りの自動車業界、日本産業界全体がそうなってほしいと思っています。デンソーに強みがあるように、他の会社さんにも強みがあります。それぞれが「より良い社会にして行くためのこんな集団だ」と立ち位置を明確にして、一丸となって日本全体を強くしていきたい。エンジニアの皆さんには、そのための通過点としてデンソーという環境を捉えてもらってもいいし、ゴールとして考えてもらってもいい。デンソーは、日本を世界一にするために日々頑張っています!!

横山:めちゃめちゃかっこいいです!今後のビジョンを質問したときに、デンソーさんだけではなく産業全体を考えているのが、すごくいいなって思いました。

加納さん:もっと広い世界でやっていくために、デンソーは日本の産業界や世界という視点で考えています。そのため、副業の制度だったり、スタートアップ企業や行政での出向制度があったりと、自分を見つける・成長させるための環境がデンソーにはいっぱいあります!!

横山:今年のメインイベントのテーマは「SUPER NOVA」(超新星爆発)ということで、参加者の方々に爆発するように、殻を破ってもらうことで、固定観念を打破し、新たな一歩を踏み出すきっかけになればいいなと、そういう思いでメインイベントを開催するのですが、今年、特に頑張ることを教えていただけたらなと思います。

山田さん:ここまでお話しした考えをしっかりまとめて社内外で共有・共通認識がとれるようにしていきたいと思っています。デンソーは個々人の可能性を広げていく文化をもった企業なのだと、多様性を重視する企業なのだと認識してもらえるように仕向けていきます。考えに賛同する多様な人が集まって、総智・総力で成し遂げる集団。そういった強いメッセージを出していきたいですね。

横山:本日は、お忙しい中貴重なお時間をいただきありがとうございました。素敵なお話を聞くことができ、とても嬉しく思っております。今年のイベントもパートナー企業の皆さまのご支援により成り立っております。皆さまからのご期待にお応えできるよう、運営一同、精一杯作り上げていきますので、乞うご期待ください!

・インタビュアー:名古屋大学理学部数理学科 横山大輝

・撮影・記事作成:名古屋大学法学部法律政治学科 今井宏晃

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